理科の先生に聞きました。次亜塩素酸ナトリウムと界面活性剤の一部が、なぜ効くの?
次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに効くことは、現時点で立証されていない、と通知されて1週間。
知り合いの高校の理科(生物)の先生に、お話を聞く機会を得たので、ウイルスに効く薬剤について尋ねてみました。
そうしたところ、その先生から、次亜塩素酸ナトリウムなどがウイルス類に聞く仕組みについて見解を示してもらえましたので書き留めておこうと思います。
◆その前に、前提として
厚労省は当初から、手指消毒にはアルコール類、対物消毒には次亜塩素酸水ではなく、次亜塩素酸ナトリウムを推奨していました。
その後、対物消毒のバリエーションを増やすためとして、界面活性剤の一部も紹介されるようになりました。
学校や図書館などを所管する文科省も、この厚労省の基準に準拠する形で、通知文の中で紹介しています。
ではなぜ、次亜塩素酸水が出てきたかというと、アルコールには(原材料が必要となるため)生産量ひいては供給量に限度があり、品薄が続きました。
このため、扱いが容易で危険が少ない次亜塩素酸水が注目された、という流れがあります。
◆対物消毒としての次亜塩素酸ナトリウムと界面活性剤
(ここから生物の先生の見解)
次亜塩素酸ナトリウムと界面活性剤が、なぜ新型コロナを含むコロナ型ウイルス類に効くかというと、それぞれ別の化学作用によるものである。
そもそもウイルスは単純な構造で、遺伝子情報のRNAという遺伝情報物質と、それを収納するたんぱく質ケースや殻など(※1)で出来ている。
次亜塩素酸ナトリウム
には、強力な酸化作用があり、ウイルスのRNA構造を破壊できる。
(一部の)界面活性剤
には、タンパク質のケースや殻(エンベロープ)を壊す効果があり、ウイルスが形を保持できなくなる。
いずれも方法は異なるが、「強力な効果」によって、コロナ型ウイルス(※1)を死滅(≒不活性化)させることができる。
だから、その扱いは慎重にしなければならず、簡単に肌がかぶれたり、噴霧で吸引したら危険など、人にだって害がある(※2)。
逆に言えば、次亜塩素酸水のように、人に害が少ないものは、ウイルスにも効果(害)が無い、というのはある意味当たり前。
ということでした。
なるほど。
【追補】
※2)界面活性剤は、どの程度人の肌に害があるかについて、12日にお聞きしました。
ウイルスは単純な構造で、そのむき出しのタンパク質やエンベロープの殻に、界面活性剤が効くので即効性がある。
ウイルスのRNAのケースとなっているタンパク質、(この場合のタンパク質は水に溶けないタイプであるため、人の体に入っても形を保っていられるが)これを界面活性剤によって溶ける性質にしてしまう。
本来の使い方である、食器の汚れ落としと同じの要領で、ウイルスの殻を水に溶かしてしまう、という仕組み。
しかし人の肌の場合は、(人の細胞膜も同じようにタンパク質で出来ていることは変わらないが)外皮を、油分とか角質層とかが覆っている。
この角質層などがまず、界面活性剤の「盾」となってくれるため、いきなり人の細胞膜が界面活性剤の効果にさらされる、ということが無い。
洗剤荒れしやすい、という人は、この角質層や油分の、層が薄いとかあかぎれなどの症状があるとか、そういった状態にある。
※1)たんぱく質など、の「など」
タンパク質の殻の外に、エンベロープの層を持つタイプのウイルス
もうちょっとちゃんとした図が、下記リンクにあります。
NITEのWEBサイト:新型コロナウイルスに対する消毒方法の評価
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