2021年賀状用画像を作り始めました
2021年の干支は丑(牛)ですね。
前回の丑年では、風の谷のナウシカの毛長牛とチャルカの絵をフォトショを使って描きましたが。
今回は、せっかく油絵を始めたので油絵を描いて、それをスキャンして画像にするつもりでネタ探し。
すると、天空の城ラピュタに、実は「毛長牛」ちゃんがワンショット出ていたことに気づきました。
(たぶん故郷にいた時代のシータとその飼牛)
これだ!
しかし、そのまま模写すると色々と問題ありそうですし、何より面白くない。
そこで、時間帯を変えることにしました。
本物の季節は、入道雲から夏、時刻は、水汲み作業らしいので(プロペラを使った水車が見えますから)おそらく午前。
そこで、初秋の夕景に変えることにしました。
思い起こせばむか~し昔、初恋の人と同じ大学を受けた頃のこと(私は落ちましたが)
事前大学説明会の帰り、夕日を受けて長く伸びる、彼女と大学のヒマラヤスギの影法師。影を追って少しだけ歩いて、声も掛けられずにそのまま。
私の一番記憶に残る「時刻」です。
もう一つの条件は、「上手い」と言われないこと!
2番目に書いたリンゴの絵は、教えてもらった美術の先生に「上手ですね」と褒められたのですが、今のアートは決して上手さを求めるものではないと知っている身としては、複雑な気持ちでした。
(素直に喜ぶ気持ちも勿論ありましたが)
●まずは背景作り
上手いと言われないためには、私の心象風景をそのままキャンバスに込めること。
これに尽きます。
最初に作った背景画がこれ。7月19日まで作業分
さすがに最初に選んだ色だけあって、心象の色に近い絵の具を純粋に選んだので、色味自体は気に入っているのですが・・・
ノペッとしていて、急に雲の形も変わってしまっていて、遠近感ゼロ。
分かってください、という主観的で独りよがりな空になってしまいました。
書き直して、8月初旬現在がこちら(8月3日現在)
空の写真を見て勉強してしまった結果、「リアル」を求めてヒヨってしまいました。
このままでいくと、また「上手ね(シロートにしては)」と褒められて終わりそう。
それと、空色の絵の具部分。
何度塗っても色を変えても、「空色」に使ってる「すみれ色」がペタンとしていて、納得いきません。
下地との混色もうまくいかないので、そこだけペンキみたいです。
まだ一次塗りなので、このあと進めればかすみ具合とかは良くなっていくのは見えるのですが・・・
このまま進めるべきかどうか。
雲のリアルさを追求したいわけじゃなくて、描きたいのはあくまでも心象。
悩み中です。
8月9日現在、第2版を手直しする方向で空色を抑えてみたのですが・・・
小手先の修正になってしまいました。
やはり覚悟を決めて、大きく見直す方向に舵を切らないといけないか。
下塗り段階でアウト(8月30日現在)
夕景は、特に日没マ間近になると分単位で大きく変わっていきます。
朱色と黄色(クリーム色)と闇(青)の境界は、ぶっちゃけどこに入れても成立します。
とてつもない夕焼けの日は、朱色一色だった空が上空側からだんだんと夜のとばりに攻められて、最後は余照だけが太陽がまだ地平の向こうにあることを物語る。
今回は余照が雲を照らす表現をしたらどうかやってみようと思いたちました。
空を全部塗り潰してから、夜側の空と、まだ太陽に照らされる雲を描き始めたのですが。
違う。
描き直し。
~しばらく間があきました~
下絵の乾燥を待つ間に、ビデオを見まくって、アニメの「空」表現と被らないように調べました。
最近のアニメは、非常に空表現に凝っていて、とても美しいです。
特に雲の動きまで表現されているのは圧巻です。40年前にはまだなかった、絵の具や3DCGを使えるのもあるのですが、やはりアニメーターの背景へのこだわりがとてもよく分かります。
鬼滅の刃とか、もう原作以上にアニメーションが美しいですよね。
水の呼吸とかの独特で印象的な浮世絵的表現に、負けないだけの美しさが空の表現にあり、画面全体の調和が取れています。
(でも、一つだけ言わせてください。流行語になりつつある『全集中』な、イヤイヤ、全集中の『呼吸』ですから!)
思い起こせば…
宮崎アニメの未来少年コナンで、ピンク色の雲が登場して、空の色表現に縛りが無くなるという、あれはエポックメイキングな表現でした(今NHKで再放送してますよね)。
その後の宮崎映画では二三雲でリアルな空の動きが追及されました。
また、エヴァでは、CGを活用した光表現を交えた夕景 ~ミサトさんがレアなラリーカーで登場するシーンとかで使われています~ が登場し、本当の意味で「3G的なCG」が活用された表現だと思いました。
それらが、今のアニメーションの「空」表現のベースになっています。
ここまで空にこだわっているのは日本アニメくらい?
やはり、四季があるからでしょうか?
こうして、色々なアニメの空の表現を確認したところ、
「紫雲」の表現は、余りないのではないかと気づきました。
朝や夕方に、地平線から差す光を浴びて、雲が薄紫に、時には虹がかったように見えるアレです。
少し後の時間帯で五彩に光る雲は、彩雲ともいわれますよね。
夕景を描いているので、これまでの下絵でも雲の塗分けはしているのですが、
紫色の雲は空色との明度差が無いく、印象に欠けインパクトが弱いこと。
それに、
ただでさえ水色系やピンク(※)という「安っぽい色」に見られがちな2色を使っているのに、さらに薄紫は、やばいだろ、
とか思いつつも、「誰かがやったことがある色味は避ける」ためだけに、雲を薄紫に塗ることに決めました。
【2020.11.27追補】
と、思っていたら、この日の金曜ロードショー「ルパン三世the First(2017年作品)」で夕景と紫雲が登場してました
クククッ…orz スデニ ヤラレテマシタカ
このロードショー、全ての空、全て凝ってました
キレイだったゼ~
ヒロインのLAETITIAちゃん。
ディズニーっぽい顔立ちが鼻につくのと、カリオストロへのオマージュ的な落ちの付け方はどうかな?と思わなくはないけどけど、ヒロインキャラの王道のまっとうな善人スジっぷり、良かったです。
さてさて、
11月13日現在、高層雲と低いくもの2層に分けて
上層雲がサラミス艦みたい~
12月が近づき、乾燥期間も考慮するともう待ったなしの時期になってきました。
覚悟を決めて、下塗りはここまで。
今回のパターンをベースに仕上げに入ることにしました。
◆11月25日
風を表現するために、上層と下層で雲の角度を変えて、流れを加えて、
いよいよ主人公たち、水車にシータに毛長牛 を書き加えて、
全体の影の濃さのバランスをとるため、インジゴやコバルトターコイズほかの影色を薄く何回かに分けて塗って・・・
完成。
スキャンに耐えられるように、この後も微細な修正は加えますが、これを来年の年賀状に使います。
※でもね~、やっぱり宮崎表現の背中は遠いYo~。冒頭のワンシーンのスクリーンショットと比べてもらえばわかるんだけど、シータが水桶を「重そうに」持っている、ということ、そして後ろに広がる空を見て、何か思っている、ということが「姿勢」だけで分かるんですもの。
私の絵なんか棒立ちですよ。『模写しているのにもかかわらず!』
クソッ、悔しい。どこまで直せるかなぁ
◆スキャンして年賀状にしたら・・・
(印刷前の画像データです)
スキャナ~プリンタの能力もあるのでしょうが、「空」が思った色身になってくれませんでした。
ハガキの印刷結果では、空の部分が、この画面以上に、ぺったりとペンキを塗ったような状態でした。
原画は、紫とオペラピンクが上塗りしてあるのですが、青とオレンジが妙に目立ち、凡々とした色身に。
この失敗の原因を押さえておかないと、来年また同じ過ちを繰り返すことになると考え、各段階での劣化原因を調べてみました。
・スキャン
ここで読み込まれなかった色は、フォトショップで補正のやりようがありません。
確認してみると、
かなり再現性は高い。
ただし、
最後に「薄塗り」した層、空の薄紫(バイオレットグレイ+マゼンダ+希釈)や人物の影(インジゴ+希釈)は「飛ばされ」下地色が読み込まれた。
それと、(ある程度予想はしていましたが)オペラピンクの再現性の悪さ。蛍光系はやはりスキャンには弱い。(蛍光色は、「人が眼で視た時に」鮮やかになる顔料成分)
・プリンタ(Canon TS5030)
フォトショップで補正のやりようがある部分です。
確認してみると、
画像データ上にあった細かなグラデーションや色味が、かなりの部分で飛んで無くなってしまっていました。
「印刷モード」を合わせきれなかった可能性があります。(←通常は、ここまで含めて強制的にフォトショで修正するのですが)
近年のプリンタは、デジカメなどで撮影した画像なら、かなり「上手に補正して」印刷してくれます。
今回の場合、これらのグラデーションが、これらの「自動補正」によって(望まない悪い方向へ)調整されてしまったようです。
これら2段階の返還によって、「ピンク~紫」の階調の”つもり”だった空の部分が、「オレンジ~青」の組み合わせになってしまった、と判断しました。
これらを回避するためには、
①(読み込まれやすい)厚めに塗る「下地」色の色選びを重視
②蛍光色に頼らない色味づくり
これらで、スキャンとプリント劣化に負けないようにしていきたいです。
おまけ:絵の具
【インジゴ】異常に乾燥しにくい絵の具でした。2日経っても触っちゃったときに擦れてショックorz
【コバルトターコイズ】~SFじゃないやつ~廃色になったのはなぜ?ビビットじゃないところが良くて、すげえいい色なのに。近似色を買ってみたけど、なんか違うんです。なので、在庫で持ってる残りのチューブは、虎の子です。
【オペラ】今回は、このピンクが大活躍。バーミリオンではいかにも朱色ってところを和らげてくれました。あとはスキャン&プリントしてもこの色味が残るかが問題。昔の印刷機だとオペラピンクって蛍光系は、原稿色が表現できなかったんですよ。今はどうかな?~オペラ純色の再現性は低かったです。
【ホリゾンブルー】空色は何色も買ったんですが、最終的にはこれをベース色にしました。【バイオレットグレイ】と迷ったんですが、紫雲との色味差をつけるためだけに。でもどうしても空色系は安っぽくなりがち。バチターなんかもう使う機会ないんじゃないかな。次回空表現をする機会にはもうちょっと考えたいです。
【バイオレットグレイ】そのままだと安っぽい色になりますが、下地色や混色次第でいい感じになりそう。今回の「紫雲」のベース色にもなっています。
【カーマイン】茜色は低層雲の主色に。
こうしてみるとオペラといいカーマインといい、FSSの影響が残ってるわ~。でも雲にこの色を使えたのは結構思い切れた、と自己満足してます。